2019年04月25日

『ヒトラーvs.ピカソ 奪われた名画のゆくえ』見てきました

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『ヒトラーvs.ピカソ 奪われた名画のゆくえ』
見てまいりました〜!
雑誌の映画評でチェックはしていたのですが、字幕を大学の同級生の吉川美奈子さんが担当されたと知って、即、映画館に向かいました。

今回の字幕は別の方が担当かな〜と思ったのは、映画の案内役がイタリア人俳優だったため。
監督さんもイタリア人で、映画の中で最も多く耳にするのはイタリア語です。
ただ、当然ながらドイツ語もたくさん登場しますし、さらに英語、フランス語とどんどん言語が変わるので、字幕を読もうと思っていてもつい耳も動いてしまう!(イコール理解できる、ではないですが)
ということで、見終わったときは疲労困憊しておりました(^_^;)。

ドキュメンタリー映画なのですが、おおよその内容は公式HPによると以下のとおり。
ナチス・ドイツがヨーロッパ各地で略奪した芸術品の総数は約60万点にのぼり、戦後70年以上経った今でも10万点が行方不明と言われる。
なぜ、ナチス・ドイツは、いやヒトラーは、美術品略奪に執着したのか?
彼らは、ピカソゴッホゴーギャンシャガールクレーらの傑作に「退廃芸術」の烙印を押しそれらを貶め、一方で、純粋なアーリア人による写実的で古典主義的な作品を擁護。
同時に、故郷リンツに“総統美術館”設立の野望を抱き、右腕的存在のゲーリング国家元帥と張り合うかのうように、ユダヤ人富裕層や、かのルーブル美術館からも問答無用で憧れの名品や価値ある美術品の略奪を繰り返した。
権力は芸術をも支配できると妄信するナチスが行った歴史上最悪の美術品強奪と破壊、そしてヒトラーの秘宝たちが辿った知られざる真実とは――?


いまだ10万点が行方不明というのにも驚きますが、私がもっと驚いたのは、映画の中に登場するユダヤ人家族が、長い長い裁判を経てほんの数年前にようやくかつて所有していた絵画を取り戻した、という事実でした。
そう、ナチスに略奪された美術品は、まだ所有者の元に戻っていないのです。
上述の「退廃芸術」「晒しものにする」目的でドイツ各地で展示された後、戦費を調達するために売り払われています。
略奪の末の売買であっても所有権が移った以上、「返してください」「はい」という訳にはいきません。
美術館所蔵となっている作品の場合、個人の所有に戻すことが果たしていいのか、という問題もあります。
70年前の暴挙は、いまだ禍根を残しているのです。

一方、個性の発露である芸術作品の優劣を、時の権力者が決める怖さも強く感じました。
ヒトラーの描いた絵を見たことがありますが、下手ではない、でも個性の薄い具象画で、こういう画風の人が印象派やキュビズム作品を理解できず、憎むのもまあ理解できます。
芸術の愛好家を名乗っていたゲーリングが好んだ絵画も、彼のフェチが反映されていてちょっとイヤ…(絵画に罪はなく、セレクトが気持ち悪い)。
こういった好みはもちろん誰にでもありますが、彼らの最大の罪は、好みに合わない作品の存在を許さなかったことです。

なお、タイトルになっているピカソは、実はほとんど登場しません。
けれど、とても強烈な印象を残します。
見終わった後、「なるほど、だからタイトルにしたのか」と、思わずつぶやいてしまいました。
現代に通じる問題も提起されている異色のドキュメンタリーなので、興味がある方はぜひ映画館に足をお運びください。
美奈子さん、お疲れ様でした!!

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posted by 管理人 at 23:58| 舞台・映画レビュー